それから、君にサヨナラを告げるだろう
「ハルに、会いに行きたいな……東堂と」
 私は近々、東堂と一緒に、花束をもって君に会いに行くだろう。
 春の人と書く君の名前にふさわしい、温かくて柔らかな花を選ぶよ。
 記憶から徐々に霞んでいく君の笑顔を思い出しながら選ぶよ。
 きっと、冷たい石の下に眠る君を前にしたら、すぐに言葉が出ないと思う。涙も止まらないだろう。きっと、重ね合わせた手も震えるだろう。

 だけど、瞼を閉じて、君と過ごした優しい日々を想いながら、この心臓が鳴りやむまで生きることを誓う。君の前で誓う。必ず誓う。


 それから、本当の意味でやっと、君にサヨナラを告げるだろう。



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