王子様と野獣

訳が分からなくなるくらい疲れたし、腰も痛いけど、ホッともした。
だって、甘くなったあさぎくんはとても幸せそうに笑うから。

私といて、そんな顔をしてくれることが嬉しい。
やっぱり彼は私の王子様だ。キラキラしたその笑顔が、誰よりも格好良くて優しい。
千利にもそれを分かってほしい。

「あのね、あさぎくん。今度改めて、千利に会ってほしい」

「もちろん。ていうか、家にお邪魔したらダメ? 俺、親御さんにも挨拶したい」

「え?」

「……早すぎるかな。でも俺、皆に認められて付き合いたいよ」

カーっと頭に血が上った。
いや、だって。初恋の王子様からそんなこと言われて、嬉しくない人なんかいないでしょう?

「う、嬉しいです」

「よかった」

私が好きになった人は、こんなに素敵な人です。
大好きな両親にもそう伝えられることがなによりも嬉しいと思えた。
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