王子様と野獣
*
「お疲れさまでした」
私は派遣で業務時間も決まっているため残業はない。もちろん、頼まれればやっても構わないんだけど、派遣元とのやり取りが面倒になるらしく、基本雇い主のほうが遠慮してしまうものらしい。
「お疲れ様。慣れない業務だから疲れたでしょう。今日はゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
心優しい言葉と遠山さんの笑顔に見送られてブースを後にする。
美麗さんが貸してくれた参考書は持った。今日は家に帰ってこれをじっくり読みこんでみよう。
「仲道さん」
廊下で声をかけられて振り向くと、そこには瀬川さんがいた。
「今日はお疲れ様。疲れたんじゃない?」
「あ、でも。みなさんに色々教えてもらえたので。……仕事が遅いのは自分のせいですし」
遠山さんは、私が残した仕事の中で、今日中にやらなきゃならないことを済ませるために残ってくれている。
こんなんじゃだめだ。早く役に立てるようにならないと。
「俺も今日は早く終われそうなんだけど……良かったら夕飯とか食べない?」
「え?」
思いがけないお誘いに、思わず遠山さんの『気に入ったのかもね、仲道さんのこと』なんてセリフを思い出して顔が熱くなる。
いや、ないって。瀬川さんは背も高くて真面目そうで、眼鏡が印象を暗くしてるけど実は結構イケメンだよ? 私なんてないない。
「お疲れさまでした」
私は派遣で業務時間も決まっているため残業はない。もちろん、頼まれればやっても構わないんだけど、派遣元とのやり取りが面倒になるらしく、基本雇い主のほうが遠慮してしまうものらしい。
「お疲れ様。慣れない業務だから疲れたでしょう。今日はゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
心優しい言葉と遠山さんの笑顔に見送られてブースを後にする。
美麗さんが貸してくれた参考書は持った。今日は家に帰ってこれをじっくり読みこんでみよう。
「仲道さん」
廊下で声をかけられて振り向くと、そこには瀬川さんがいた。
「今日はお疲れ様。疲れたんじゃない?」
「あ、でも。みなさんに色々教えてもらえたので。……仕事が遅いのは自分のせいですし」
遠山さんは、私が残した仕事の中で、今日中にやらなきゃならないことを済ませるために残ってくれている。
こんなんじゃだめだ。早く役に立てるようにならないと。
「俺も今日は早く終われそうなんだけど……良かったら夕飯とか食べない?」
「え?」
思いがけないお誘いに、思わず遠山さんの『気に入ったのかもね、仲道さんのこと』なんてセリフを思い出して顔が熱くなる。
いや、ないって。瀬川さんは背も高くて真面目そうで、眼鏡が印象を暗くしてるけど実は結構イケメンだよ? 私なんてないない。