王子様と野獣
「私の仕事は、部署のみんなが仕事をしやすいよう、彼らじゃなくてもできる雑務を引き受けることなの。百花ちゃんは私の代わりとして雇われているんだから、同じ意識を持ってほしい」
「はい! 頑張ります!」
「うん。素直。いいよね、百花ちゃんのそういうとこ。仕事ができるようになってくれればもっといいけど、頑張ってるから憎めない」
「俺もそう思うよ」
電話を終えた瀬川さんに、ポンと肩をたたかれて顔が一気に熱くなった。
好かれてる……なんて図々しいこと、考えたくないけど。
あまりに親切にされると勘違いをしてしまいそうだ。
「がっ、頑張ります……!」
ダメだ。頭がパンクしてしまいそう。
とにかく私が早く仕事に慣れることが、今の状況を解決する一番の方法のような気がする。