王子様と野獣
*
二階の受付にいたのは、綺麗で楚々とした女性だった。
白のスーツを着こなしていて、そこにすごいなと純粋に思う。
私なんて……と自分を見返せば、グレーの地味なリクルートスーツ。
前の会社は服装はカジュアルでもよかったから、まともなスーツは二着ほどしかもっていない。
髪も、邪魔にならないようにと結んではきたけれど、染めてもいない真っ黒な髪が妙に気恥ずかしく感じるのは、さっきから見かける社員さんと思しき女の人たちが、一様に明るいカラーの髪で身ぎれいにしているからだ。
ここって、もしかして女子力のいる会社なのかな……。
なんとなくもじもじしていると、受付のお姉さんはにっこりと笑い「連絡いたしましたので四階に向かっていただけますか?」と言った。
エレベータを降りると、四階ではもっときれいなお姉さんが待っていた。
茶色のショートボブに小さな顔にぱっちりした瞳。白のパンツにカーキ色のシャツ、シンプルにベージュのパンプスを合わせたその人は、仕事のできる女ってイメージだ。
「ええと、仲道さんですね? 私、土地開発部門で主任補佐をしている田中と申します」
「あ、よろしくお願いいたします」
「主任のところにご案内します。どうぞ」
今までいたところは小さな会社だったから、こんな風に取次に次ぐ取次をされるとものすごく仰々しく感じてしまう。
あ……だめ。なんかどんどん緊張してくる。
やっぱり、こんな大きな会社で働く自信なんてないよ。スキルを過大に言ったりしなきゃよかった。
どんどん気持ちが落ち込んできて、私は視線は窓の高さから足もとまで下がってしまった。
人の視線を感じて、それもまた居心地が悪い。
野獣なんて呼ばれているけど、私は物理的な攻撃に強いだけで、メンタルは弱いんだから!
二階の受付にいたのは、綺麗で楚々とした女性だった。
白のスーツを着こなしていて、そこにすごいなと純粋に思う。
私なんて……と自分を見返せば、グレーの地味なリクルートスーツ。
前の会社は服装はカジュアルでもよかったから、まともなスーツは二着ほどしかもっていない。
髪も、邪魔にならないようにと結んではきたけれど、染めてもいない真っ黒な髪が妙に気恥ずかしく感じるのは、さっきから見かける社員さんと思しき女の人たちが、一様に明るいカラーの髪で身ぎれいにしているからだ。
ここって、もしかして女子力のいる会社なのかな……。
なんとなくもじもじしていると、受付のお姉さんはにっこりと笑い「連絡いたしましたので四階に向かっていただけますか?」と言った。
エレベータを降りると、四階ではもっときれいなお姉さんが待っていた。
茶色のショートボブに小さな顔にぱっちりした瞳。白のパンツにカーキ色のシャツ、シンプルにベージュのパンプスを合わせたその人は、仕事のできる女ってイメージだ。
「ええと、仲道さんですね? 私、土地開発部門で主任補佐をしている田中と申します」
「あ、よろしくお願いいたします」
「主任のところにご案内します。どうぞ」
今までいたところは小さな会社だったから、こんな風に取次に次ぐ取次をされるとものすごく仰々しく感じてしまう。
あ……だめ。なんかどんどん緊張してくる。
やっぱり、こんな大きな会社で働く自信なんてないよ。スキルを過大に言ったりしなきゃよかった。
どんどん気持ちが落ち込んできて、私は視線は窓の高さから足もとまで下がってしまった。
人の視線を感じて、それもまた居心地が悪い。
野獣なんて呼ばれているけど、私は物理的な攻撃に強いだけで、メンタルは弱いんだから!