クール彼氏の取扱説明書
あぁ、もう、なんでこうなっちゃうの!?
誰だ!明日みんなで遊ぼうとか言ったやつ!!
「明日、誰か誘って映画見てきて」
「…………っ」
佑月からチケットを2枚手渡される。
こんなチケット……もう、いらないのに。
“ごめん”とか、“今度また行こう”とかそんな一言だけでいいのに。
それすら、ないの?
「バカ!!」
「……はぁ?」
ハッ…。
言ってしまった!佑月様様にバカって言ってしまった!
「なんで由良にそんなこと言われなくちゃいけないの?」
「なっ……」
なんであたしが怒られなくちゃいけないの〜!?
バカって言っちゃったのはあたしが悪いけど…でも、でもさあ!!!
「いいよ、もう!仲のいい男の子誘って見に行くから!!」
「……へぇ」
「佑月のことなんて知らない!」
無性に佑月に腹が立って、チケット2枚を握りしめて急いで佑月のお家から出る。
少し。
少しだけ、家の前で待ってみるけど、
「……来ない」
全然家から出てこない。
少し歩いて、振り向いてみる。
「……なんで来ないの」
なんで追いかけてきてくれないの。