アッファシナンテ
花恋「考えていたのよ。
あなたに告白された日からずっと。
どうして私はあなたの想いに
応えられないのかしらって。
ようやく答えが分かったの。
私はあなたの事が信じられない。
だって、あなたは一度
私の元からいなくなってしまったもの。」
遼「そうだよ。いなくなった。
あんたとこれ以上一緒に
いるのが辛いから
店に前借りしてあんたに
全額借金を返した。」
花恋「どうして?」
遼「あんたの事が好きだからだよ。」
花恋「それが分からないのよ。
好きなら一緒にいたいと
思うものでしょ?」
遼「俺はそうは思わない。
俺が父親と離れ施設へ行った時
色んな人に可哀想だと言われた。
実の父親に虐待を受けて
可哀想だって皆が口を揃えて言った。
でも、本当は違う。
俺は、父の事が好きだった。
殴られても蹴られても父が
好きだから、全然可哀想じゃなかった。
本当はずっと一緒にいたかった。
どんな仕打ちを受けてもいい。
ただ、好きな人に笑っていて欲しい。
俺の事を懸命に育ててくれてた頃の
笑顔が見たい、それだけだった。」