アッファシナンテ
私が病室を出ると廊下の壁に
もたれかかった春川がいた。
春川「お話出来ましたか?」
花恋「うん。」
春川は少し微笑み私の手を引く。
優しくて温かくて涙が溢れた。
何に対しての涙かは分からない。
本当に分からない。
春川の優しさなのか。温かさなのか。
崎本さんの優しさなのか。苦しさなのか。
大切な人を失ってしまう恐怖なのか。
大切な人がそばにいる安心感なのか。
分からないけれど
泣く事しか出来なかった。
車のドアを開けた春川が言った。
春川「お嬢様。私のワガママを
聞いて頂けませんか?
崎本様が戻られるまで私のそばに
ずっといて下さい。お守りします。
執事として、1人の男として
お嬢様の事をお守りし支えます。
ですから、ずっとこの手を離さないで下さい。」
だから、私は泣いたんだ。
目の前の愛おしい人の胸の中で
思いっきり泣いた。