人魚のいた朝に
誰かが私を呼ぶ声がした
それはあの空の向こうか
青い海のその先か
誰かが私を呼ぶ声がした
あれは空を行く鳥だろうか
それとも海の怪物か
息を止めて 世界を消して
私はそっと 耳を澄ます
惑わすような甘い声
幸福に満ちた美しい声
それから、心を震わす声がして
あの歌声が夜を包んだ
星空、紺碧の海に溶けるころ
私は一つの恋をした
まだ見ぬあなたのことを想い
命を捧げる恋をした
ほら、聞こえる
彼女たちが、今日も誰かを呼んでいる
『セイレーン』