俺にすればいいのに。
「優くん、早く」

「は、はい」


先輩に急かされて俺はスマホを構えた。

指が震えて、ボタンがうまく反応しない。


「もう! 私が撮る!」


先輩がスマホを構えて俺の方へ体を寄せた。

トンッとお互いの肩が触れる。

俺の心臓は今にも飛び出そうだ。


「撮るよ〜」


あーもう無理。
そろそろ限界なんだけど……
先輩は俺の気持ちなんて知らないんだろうなぁ。


『カシャッ』


スマホの画面を確認した先輩は「優くん笑ってないじゃん!」と少しだけ怒っていた。

好きな人と写真を撮るなんて、俺にはハードルが高すぎた。


「ラストチャンスだからね! 今度は笑ってよ!?」

「はい」

「じゃあ、いくよ〜」


この時間が永遠に続けばいいのに。


『カシャッ』


「めっちゃいい笑顔じゃん! あとで送って……って、そういえば連絡先知らないよね」

「……確かにそうですね」

「い、今更だけど…交換しようか」


先輩の連絡先が俺のスマホに……!

きっかけがなくてなかなか聞けなかったのに、こんなにあっさり交換できるなんて!
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