俺にすればいいのに。
「写真、送りました」

「うん。ありがとう」

「先輩って…」

「ん?」

「夏生まれですか?」

「え?」


あ、あれ? 俺、何聞いてんだ?


「す、すみません! 忘れてください!」

「ふふっ、そうだよ。8月生まれです」

「やっぱり、そうなんですね」

「どういう意味?」

「明るくて、まっすぐなところとか、いくら失敗しても前を向いているところが、太陽に向かって咲いているひまわりみたいだなって思ったので、なんとなく夏生まれかなって」

「……ありがとう、嬉しい。優くん、大正解!」


ひまわりみたいな笑顔も好きだな。

先輩と一緒にいると、好きが溢れていく。


サッカー部のエースじゃなくて、俺にすればいいのに。

エースよりカッコよくないし、サッカーもできないし、至らないところがいっぱいあるかもしれないけど……

先輩を想う気持ちは、誰にも負けない自信がある。

だから、振り向いて欲しい。

でも、


「私、今度こそ帰るね」

「あ、はい」


タイムリミットだ。


「優くん、またね!」

「……さようなら」


先輩は手を振りながら、美術室から出て行った。
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