俺にすればいいのに。
卒業式の日


俺はいつも通り美術室にいた。

ここが1番落ち着くから。

今、先輩に会ったら絶対抑えられない気がする。



『優くーん、またフラれちゃった……』


そう言って笑う先輩はもう来ない。


『優くんの絵ならなんでも好き』


ちょっとだけずるい先輩も、


『大人になって子どもができたら、可愛い服をいっぱい作って着せてあげるのが夢なんだ』


子どもみたいに無邪気で可愛い先輩も、


『……ありがとう、嬉しい。優くん、大正解!』


ひまわりみたいな笑顔の先輩も、



全部、全部……



「……大好きでした」


そう呟く俺の声は震えていた。
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