諦めるには値しない
母ちゃんはため息をつきながら
自分の皿にカレーを盛った。
冴子「あんたって本当
視野が狭いわよね。
珀斗の事もバスケ部の事も
守れる男になりなさいよ。」
昴「母ちゃんは
何も分かってねぇんだよ。
バスケ部はヘタレの集まりで
珀斗は放っておいたって自分で
何とか出来る奴で、だったら弱い方を
助けてやるのは当然の事だろ。」
冴子「珀斗が弱くないなんて
誰が決めたのよ?
あんたが勝手に思ってるだけでしょ?」
昴「二つとも大切になんて出来ねぇんだよ。
欲を出しちまったら中途半端な
結末になる事くらい目に見えてる。
俺らの事に口出さないでくれよ。」
母ちゃんの作ってくれた
カレーをほとんど食わないまま
俺は部屋に閉じこもった。
母ちゃんに言われなくても分かってる。
本当は俺だって珀斗の事も助けてやりたい。