諦めるには値しない
~昴side~
学校からの帰り道
廃れた公園の中に真山の姿を見つける。
使い古されたバスケットボールが
オンボロのリングへと吸い込まれていく。
あいつはバスケの才能がある。
俺たちなんかよりも
バスケの才能を持った男だ。
『お前もバスケ部に入れよ。』
何度もそう声をかけようと思った。
今だってそうだ。だけど...
街灯に照らされたあいつの
苦しそうな横顔を見たら
声なんてかけられなかった。
俺はやっぱり真山に
声をかける事なく家へ帰った。