諦めるには値しない

~昴side~


久しぶりに来た堤防沿いは
俺たちが溜まっていた頃よりも
随分、寂れたように思えた。

ここでタバコ吸って喧嘩して
意味もなく学校をサボっていたのは
つい最近の事なのに
随分、遠い昔の事のように思える。

俺たちは本当に変わったんだ。

くだらねぇ日々から
くそつまらねぇ日々から
ようやく解放された。
なのに、俺はまたここへ
戻ろうとしている。

2週間前に珀斗と庄司と真山と
誓ってやめたタバコを
ポケットから取り出し火をつける。
人間の体ってのは不思議なもんで
たった2週間吸ってないだけで
その味が随分と不快に思えた。
< 287 / 582 >

この作品をシェア

pagetop