諦めるには値しない

こんな大切な時期に練習を休むなんて
どう考えてもおかしい。

陶太を連れて部室へ行くと
開け放たれたドアの向こう側には
昴と藤野がいた。

顔を汚しながら
黙々とペンキを塗り続けていた。

陶太「芹沢くん、どうして?」

昴「胸糞わりぃからよ
元に戻してんだよ。」

陶太「え?」

昴「お前らは何にも悪くねぇのに
俺らのせいでお前らまで
同等に見られてさ。悪かったよ。
自分のケツくらい自分で拭かねぇとな。
ケジメはちゃんとつけるからよ。」

昴を見て笑う陶太。
そんな陶太を見て笑う藤野。
だからこそ昴という男を
俺は憎む事が出来ない。
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