諦めるには値しない

真山の嘘には気付いた。
でも、責める気にはなれなかった。
陶太はこういった事に不慣れな人間だ。
この数ヶ月間、色んな事に巻き込んだ
俺たちがあいつを責められるはずなどない。

昴「ったく、あいつもあいつで
こんな事でヘコんでどうすんだよ。
いい加減慣れろっつーの。」

真山「あいつは言わなかったけどよ。」

一歩後ろを歩いていた真山が口を開く。

真山「大会の説明会へ行った時
酷い言葉を浴びせられたんだ。
ヤンキーバスケ部だの俺たちとは
試合したくないだの。俺たちのせいで
あいつは傷付いたんだと思う。
でも、あいつは笑ってた。
初めての夏の大会頑張ろうとか
やけに前向きでさ。」

何で俺らに言わねぇんだよ。
なんて、そんな事は聞かなくとも分かる。
陶太は俺たちを庇ってくれたんだ。
自分の胸に秘める事で俺たちが
傷付かないで済むようにしてくれたんだ。

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