諦めるには値しない

ーガチャ

北山「何だ、羽井。
まだ残ってたのか?」

陶太「ねぇ、先生。」

北山「どうした?」

陶太「この壁ね、芹沢くんが
一生懸命塗り直してくれたんだ。
自分たちのケジメはちゃんと
つけなきゃならねぇって僕たちに
内緒で塗ってくれたんだ。」

北山「そうか、あいつらしいな。」

陶太「僕は芹沢くんの事も
日向くんや庄司くんの事も
真山くんの事も大切なんだ。
彼らがいなかったら僕はもう
とっくの昔に叶えたい夢を諦めてた。
でも、皆と一緒に練習するようになって
上手くなっていくのが分かって
もしかしたら本当に僕の夢が
叶う日が来るかもしれないって
そう思うようになったんだ。」

芹沢くんが書道の時間に
書いたと言っていた
下手くそな字で書かれた
目指せ!全国大会の文字。

その時はバカにしていたけど
今はその文字が涙で滲んで
よく見えなかった。
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