諦めるには値しない

いつも通りの冴子さんなのに
なんとなく、いつもと違う様に見えた。
時折見せるその表情が
昨日の昴と同じだった。

真山「昴と喧嘩したんですよね?」

冴子「え?」

真山「昨日、偶然昴に会って。
あいつ、ちゃんと謝りましたか?」

冴子さんは小さく微笑むと
首を横に振った。

冴子「私が悪いのよ。
昴を混乱させるような事
言っちゃったから。」

真山「混乱させるような事ですか?」

冴子さんは作り終えた花束を
手に持ちながら俺の前の
イスへと座った。

冴子「真山くんにもちゃんと
話しておいた方がいいわね。」

冴子さんのその表情が
いつもとは違っていた。

冴子「私はね、昴の本物の母親なの。」

真山「え?」
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