諦めるには値しない
恨みたい。憎みたい。
あんな奴‥家族でも何でもねぇって
そう思うのにどうしても
そんな風には思えなかった。
小学生の頃からずっと
同じ屋根の下で暮らしてきた。
俺の母ちゃんだから。
珀斗と今こうして一緒に
バスケが出来るのもあの時
母ちゃんが叱ってくれたからで
真山が今この場所にいるのも
あの時母ちゃんが俺に大切な事を
教えてくれたからで‥
俺は数えきれないほど
母ちゃんに助けられた。
喧嘩に明け暮れていた頃
母ちゃんは一度だって
俺の事を怒ったりはしなかった。
喧嘩は男の勲章なんて
訳わかんねぇ事言いながら
笑っていつも傷の手当てをしてくれた。
ジュニアユースに選ばれた時は
自分の事のように喜んでくれて
真山を助けたいと言った時は
バスケなんて辞めればいいって
俺の背中を押してくれて‥
母ちゃんはいつも俺の事を
否定したり責めたりしなかった。