諦めるには値しない

陶太「僕が救っただなんてそんな
大それた事はしてないよ。
皆、僕よりも遥かにバスケを愛してて
僕よりも遥かにこの道の厳しさも
楽しさも知っている。
救われたのは僕の方だよ。」

珀斗「確かにお前はヘタレで弱虫で
才能なんて一つもない奴だよ。
でも、バスケを愛する気持ちと
バスケと向き合ってきたお前の姿は
全部、俺たちの目に映ってる。
お前が変えてくれたんだ。
くだらねぇなんてつまらない言葉で
変わる事を諦めてた俺たちを
お前が変えてくれたんだよ。」

トタは嗚咽を漏らし泣きじゃくって
その姿が子供みたいで愛らしかった。

昴「陶太。俺たちにはよ
譲れねぇ信念があるんだよ。
てめぇらからしたらくだらねぇ
信念なのかもしれねぇ。
それでも俺たちは必死にそれを
守り抜いてきた。」

いつの間にかそこに戻ってきていた
昴がトタに向かって笑顔を見せていた。
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