諦めるには値しない
生意気なクソガキの事を家森は
いつも笑いながら守ってくれた。
昴「色んな事を経験して
目の当たりにして、いつの間にか
誰の事も信じれなくなった時
母ちゃんがいつも言う言葉がある。
真山がバスケ部に入部した時。
敵対してた珀斗とダチになった時。
真山と寿人がリンチされた時。
乱闘騒ぎを起こした時。
1番大切な事は、あんたが
信じたいと思った奴を信じる事だって。
バスケを諦めるとか退学になるとか
警察に逮捕されるとか。
そんな事は二の次だって。
あんたが信じたい人を守る。
それのどこが悪い事なの?って。」
真山「冴子さんの言いそうな言葉だな。」
昴「あの頃は理解できなかったけどよ
母ちゃんが伝えたかった事は
どれだけ理不尽な想いをしても
信じたい奴を信じる事が
大切なんだって事だと思う。
生い立ちとか家庭環境とか
皆、それぞれ色々と抱えてると思う。
けどな、真山。俺はお前が
間接的にでも入部させたバスケ部に
入って良かったと思えた事がある。」
真山「何だよ?」
昴「不幸な想いをしてるのは
俺たちだけじゃないって事だよ。
この部に入部して俺たちは
沢山の事を経験した。
珀斗や庄司の生い立ちは知ってた。
だけど、俺たちからしたら幸せそうに
見える奴らだって悩んで苦しんで
もがいて必死に生きてんだって知った。
本物の親がいる陶太も不動も
本音を言えずに苦しんでいた。
何の悩みもなさそうに見える
高杉は過去の事を忘れられずにいた。
藤野はどれだけ周りから批判を
浴びたとしても不動の事を信じ続けた。
...多分よ...この世の中に心の底から
何のしがらみも悩みもなく生きられる
幸せな奴ってほとんどいねぇんだよ。
誰だって少なからず悩みや苦しみや
負い目はあるんだ。だからこそ思う。
犠牲になればいい人間なんていねぇ。
お前が生きてるだけで誰かに何か
迷惑をかける存在だって思ってるのなら
一つだけ言わせてくれないか?
俺はお前と幼い頃から同じ施設で
育って本当に良かったよ。
例え、周りがお前の事を人に迷惑しか
かけねぇ人間だと言ったとしても
俺は、お前と出会えて良かった。」