諦めるには値しない

陶太「僕は高杉の事が大切だ。
でも、こんな風に僕たちに
真正面から向き合ってくれて
僕たちの弱さに気付かせてくれた人なんて
今まで1人もいなかっただろ?
高杉が思うよりも芹沢くんは
ずっとずっと、バスケを愛してる人なんだ。」

高杉はため息をつくと
吐き捨てるように言った。

高杉「芹沢くんが何か問題を
起こすような事があれば無条件で
バスケ部をやめてもらいます。
それでもいいですか?」

昴「ああ。」

高杉「だったら、明日から
真面目に練習に出て下さい。
これは副部長命令です。」

高杉はほんの少し笑って
それを見た芹沢くんも少し笑って
人と人の心が通う瞬間を
見せつけられたような気がした。

でも、僕は気付かなかったんだ。
つまらなそうな表情を浮かべる
日向くんの気持ちにも
大きな拍手をする庄司くんの事情にも
何一つ気付いてあげられなかったんだ。
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