花瓶─狂気の恋─
真帆は言葉が喉に引っかかって発言することが出来なかった。これから言うことは真帆にとっては絶対に言ってはならない言葉。真帆自身、口が裂けても嘘だとしても言いたくない言葉だ。
だが、雫のプランでは「こういう場になったら絶対にそういう流れにする発言」を言わなくてはならなかった。聞かれなかったら避けて通れた道だった。
真帆は汗だくになりながら、身体をプルプルと震わしていた。
「....教える理由がありません。教えたくないです。」
「お願いだ真帆ちゃん。教えてくれないか?僕はどんな言葉を言われてもいい覚悟をしてるんだ。真帆ちゃんには辛い時声をかけてもらった。そんな真帆ちゃんといつの間にか仲が悪くなるようなことは絶対にしたくないんだ。」
「そうですか、そうですか....なら言いますよ。先輩、私はもう貴方とは口も聞きたくないんです。初めて会った時、写真部への勧誘をしましたよね?断れなかった私も悪いんですが、もう我慢の限界なんです。」
「....え?」
驚きを隠せずにいた悠雅に真帆はキツく睨みつける。心の中で何度も謝罪しながら鋭く睨んだ。
「楽しそうに話していたのも全部演技。写真になんてこれっぽっちも興味ありません。