花瓶─狂気の恋─
千紗先輩と仲良くしてたのは、悠雅先輩となるべく話さないようにしたかったからなんです。部活内で大人しくすればお人好しの先輩は絶対に声をかけてくる。それが嫌で嫌でたまらなかったんです。」
「真帆ちゃん....」
「もう私に関わってくるのは辞めてください。迷惑です。それと、晶子と渡井先輩には言わないで下さい。変な心配かけたくないので。
それじゃあ失礼します。」
真帆は振り返り、そのまま早歩きで屋上を後にしようとした。
「....真帆ちゃん!」
屋上のドアノブをひねろうとした時、悠雅が大声で呼び止めた。真帆は反射的に動きがピタリと止まり、悠雅の声に自然と耳を傾けていた。
「....それは本心なのかい?」
悠雅の弱々しいその声に真帆は心を強く打ちつけられる感覚になった。とても心苦しく、全力で否定したかった。だが、将来的には肯定しなくてはならない。
真帆は何か言おうとするが何も言うことが出来なかった。まるでもう一人の自分が言わせないようにしてるように、首元が苦しくて言葉が出てこなかった。
真帆は結局悠雅の質問の答えをせず、涙を流しながら屋上を去った。
雫...もし、上手くいかなかったら絶対にただじゃおかないんだから!こんな犠牲を払ったんだ!絶対に上手くいくよね!?