花瓶─狂気の恋─
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「あんたさぁ〜。どういうつもり?ねぇ?」
麻紀はずぶ濡れになっている真帆に向かって威圧的に質問をする。薄暗く小汚いタイルが床に敷き詰められている狭い空間で麻紀と鶴、そして凛が真帆を追い詰めるような感じになっていた。
凛はケラケラ笑いながらスマホで動画を回し、鶴は外から誰か来ないか気にしながら見ていた。そして麻紀が直接攻撃するというのがいつもの形だ。
麻紀は手にしていたカビが生えているスッポンを真帆に向けた。あまりの激臭に真帆は顔を顰め、咳き込んだ。
「昼休み、悠雅さんと屋上で一緒にいたでしょ?私知ってんだからな。」
「え?....」
「部活に来なくなったからようやく私の教育が効いたと思ったらさぁ〜。何こそこそ悠雅さんに会おうとしてんの?舐めてんの?私に気付かれないでやれると思ってたの?なぁ!」
麻紀は腐った魚の死体のような臭いを放つスッポンを真帆の頬に押し付けた。ネチョリと気味の悪い音を出し、真帆の頬に食いつくような粘着性に真帆は吐きそうになった。
スッポンの棒の方を持って抵抗するが、スッポンは離すことは出来なかった。
「ぅ!...や、やめて!」
「やめね〜よブス!あんたくらいな小汚い女にはこれくらいが丁度いいんだよ!」