花瓶─狂気の恋─
「あはははは、麻紀怖すぎ〜。」
凛はスマホ画面に映っている二人の様子を見ながらケラケラ笑っていた。対して鶴は仕方が無さそうな顔をして溜め息を吐いた。
「二人共、最近流石にやりすぎじゃない?先生とかに気付かれたらどうすんの?」
鶴も最初は真帆のイジメを楽しんでいたが、段々エスカレートしていく内、その楽しみは減ったのか、バレるかどうかで心配そうにしていた。
そう聞かれた麻紀は、ようやく真帆の顔からスッポンを引き離し、それを用具入れにしまった。
「大丈夫だって鶴〜。だってこんな女だよ?元々が腐ってるような女なんだから、気付かれるわけないじゃん。まぁ、もし気付かれてもチクらなければいいだけだもんな?真帆ちゃん。」
麻紀は水が溜まっていたバケツを持って真帆に容赦なくかける。冷たい水が勢いよくかかり、その勢いに負けて真帆は壁に背中をぶつけた。
「う....ゲホォ!ゲホォ!」
「真帆ちゃ〜ん。分かってるよな?もし誰かにこの事喋ったら絶対に許さないから。あんたの自宅に忍び込んで殺してやるからね。」
「は、はい...」
真帆は気力のない返事をし、弱々しい態度を見せた。だが、心の中の真帆は麻紀のイジメにうんざりしていた。