花瓶─狂気の恋─


「そ、そうかな?はぁ...どうしよっかな〜。」


麻紀は眠気が消し飛び、頭の中が悠雅との事で頭いっぱいになっているのを鶴はどんよりとした表情で見つめていた。

嫌なことがあったらすぐ忘れられるその才能が羨ましい....いや、それだけ悠雅さんの事が好きってことなのか...
私、好きな人とか出来たことないから分かんないや。実況の時もそういう設定だからってあるけど....恋は頭の外に離れてたな〜。


鶴が有名動画配信者というのは二人共知っていた。三人は元々仲が良く、遊びに出かけるのもしょっちゅうある程だった。そこでたまたま鶴が配信者というのがバレ、変に思われると覚悟した鶴だが、逆に応援してくれたのが嬉しい思い出だ。

そこからは動画に自分の全てを注ぐような勢いになり、登録者数もグングンと伸びていった。

鶴は二人には感謝していた。自分の趣味を応援してくれる友達の存在は本当に大きかった。だから、二人を助けたい気持ちもあった。


「ねぇ...真帆のイジメ、もうやめにしない?」


その一言で麻紀の表情が少し固まった。凛は不思議そうに鶴を見ていた。二人の反応をどう捉えていいか分からない鶴は、ゴクッと唾を飲み込む。


「.......なんで?」
< 127 / 259 >

この作品をシェア

pagetop