花瓶─狂気の恋─
「だってあの子もあんだけやられたら悠雅さんに手を出さないでしょ?これ以上は意味無いって思っただけ。私だって最初は楽しんじゃったけど....やっぱり良くないよ。」
「ん〜。どうする?麻紀〜?私はどっちでもいいけど〜。」
凛の問いに麻紀はまるで当たり前と言わんばかりな表情で答えた。
「何言ってんの?やめるわけないじゃん。あの女、昨日悠雅さんとちゃっかり会ってんだよ?絶対にまたやるってあの女。」
「まぁそうだよね〜。だって、鶴。」
「で、でも....どうせ近付いたって悠雅さんが真帆に気持ちが行くわけないじゃん。今一番悠雅さんにアプローチしてるの麻紀でしょ?もう十分じゃないかな....?」
麻紀はそう言われると笑顔になった。それだけで、鶴は自分の思いが伝わったと思った。これからも続けていると状況は絶対に悪い方向へ行ってしまう。確信はないが、なぜかそう思っていた鶴の思いが伝わったと。
「十分なわけないよ。それにあの女をもっとボコさないと私の気が晴れないから。もう存在自体がウザイんだよね〜。
まぁ、そんな事より今はスマホ。さっさと探そうね。」
少し冷たい口調で麻紀が言い放った言葉。自分の力では麻紀を止めることは出来なかった。悠雅と付き合える付き合えないの問題ではなく、麻紀はイジメそのものを楽しむようになってしまっていると鶴は悟った。