花瓶─狂気の恋─


目で凛に助けをかけるが、鶴はしょうが無さそうに首を横に振った。凛は不思議ちゃんのようで、自分で物事を決めずに流れに身を任せる人間。


どうすればいいの?このままバレずに行けばいいけど、そんな上手くいくことなんてほぼないのに...


そんな苦悩を感じながらも、三人は学校へと着いた。校門に先生がいるより前に着いた。まるで誰もいないと思ってしまう程静かな学校。

麻紀達はまずスマホが落ちていたかどうか、職員室へ確かめに行った。だが、先生もそれを見てはいなく落し物箱には鶴の携帯は無かった。


「ん〜。どこいっちゃったんだろうね〜鶴のスマホ〜。」


「二人共ごめん....まさか無くすなんて思いもしなかった...はぁ〜....」


「あ、あそこは?別館の女子トイレ。昨日あの女ボコした時にどっかでカバンから落ちたとか?行ってみよ。」


麻紀を先頭にして、三人は少し古い別館へと移った。別館はあまり使われず、使う教室は半分が空き教室だった。

少し埃っぽい廊下を歩いてお目当ての女子トイレへ着いた。麻紀がドアを開けるとニヤッと笑う。その事に疑問を抱いて鶴と凛は顔を覗かせると、そこには手を洗っていた真帆の姿がいた。予期せぬ訪問者に真帆は目を見開いて顔が青ざめているように見えた。
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