花瓶─狂気の恋─

奴隷の一撃が王を殺した瞬間だった。


画面にはトイレの壁が映っていた。そして右上に「Live」と大きく赤文字が書かれており、右下には色々なコメントが更新されていた。

鶴のアカウントで何万人も見るライブ放送にイジメの現場が映っていたのだ。コメントには驚きと怒りを隠せない視聴者のコメントが止まることなく流れている。


「へ?.......なに...これ....」


凛がプルプルと震える目でポツリと言葉にした。それで麻紀の止まっていた思考が動いたのか、急いで鶴のスマホを取り上げ、放送終了ボタンを押した。


息を荒らした麻紀は鶴を睨みつけ、頬を平手打ちした。鶴はトイレのドアにぶつかり、叩かれた手を抑えながら泣きそうな目で麻紀を見た。


「どういうこと鶴!!私達を裏切ったの!!?」


「...そんなわけないじゃん....こんなの...私だって不味いに決まってんじゃん....そもそも...スマホが無くなったんだよ?私は何も知らなかったの....」


「じゃあ凛!あんたか!?」


麻紀の怒号に凛は身体をビクッと跳ねさせた。ポロポロと涙を流しながら首を左右に振った。


「私....そんなことしないよ....ねぇ、私も映ったの?ねぇ...私の人生....終わっちゃうの?」


そう言いながら凛はその場に座り込み、大声で泣き始めた。ギリギリと歯ぎしりをした麻紀の目線は真帆を捉えた。
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