花瓶─狂気の恋─
真帆はすぐ隣にある机に置いてあった自分のスマホを手にする。悠雅の隠し撮りは少しだけだがスマホに残っていた。それを見るとまた悲しみがお腹から沸き起こる。
「私....何のために頑張ってきたんだろ...悠雅先輩とは元々結ばれるはずもなかったのに....何でよ....何で私だけこんな目に...」
「あら、スマホを見るくらいに回復したのね。思ったより元気そうでよかったわ。」
聞き覚えのある声、真帆はゆっくりと振り向くと、腕組みをして立っている雫の姿があった。
「雫....なんでここに...」
「作品の為よ。早く何があったか教えて貰える?刺したのは麻紀さんの友人関係?身内?それとも本人....な訳ないよね。」
雫は先程まで晶子が座っていた席に座ってメモ用紙を取り出した。まるで警察の事情聴取だ。
「雫...その席は晶子が」
「あの子ならまだ来ないわよ。もって五分って所かしら?色んな人に電話するように私が上手く話しといたわ。本当にいい子ねあの子。だから分かる?時間が無いの。さっさと言いなさい。」
病人で精神が落ち着かない真帆に対して、雫はなんの気遣いもなく話を進めようとした。いつものマイペース、真帆は分かってはいたがここまでとは思わず、戸惑いながら話した。
「....そう....バイセクシュアルね....それは予想外、見当にしてなかったわね。」