花瓶─狂気の恋─

誰がどうみたって拷問されるような部屋、自分が拘束され、真帆は殺しの実績があり自分がその番。よく見れば気付く模型と液体だが、そんな状況下では偽物かどうか見分けられない。
それどころかリアルに捉えられ、白っぽい模型も肌色へ見えてしまう。

桃の頭を固定にし、腕と足が見えない状況を作れば、桃は感覚に頼りそれが全てになる。
桃が眠っている間に腕と足をキツく締め付けて血液がいかないようにし、桃が目覚める頃には感覚は最初から無かったのだ。

刃物は裏側を使い、縛っている手前で優しくスライドする。当然切れない、桃も何がなにやら分からない。だが、切られた腕を見られると、あの冷たい線は刃物でそれに切られたと勝手に思い込んでしまう。


桃は真帆が生きていると知っても、また刺しに来ることは無かった。臆病で小心者、刺したのは感情が高まった故の行動。

それを見抜いた雫と真帆は実験も兼ねてこの方法を実行したのだった。


「あ、豚の方はどうなったの?結局食べちゃった?」


「えぇ。致死量の最後の晩餐ね。忠告してあげたけど、そんなの無視でバクバク食べたわ。録画リストから見てちょうだい。」


「おっけ〜。楽しみだなぁ〜」


真帆は苦しむ麻紀の姿を頭の中で想像し、ニタッと不気味な笑顔を浮かべた。
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