花瓶─狂気の恋─
落ちてきた少年は笑っていたの。出血量、落ちてくる高さを見ても死亡は確実なのに勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
血を巻き散らかしながら落ちてくる少年が天使のように思えた時、少年は地面に激突。トマトを床へ落とすように少年は少し平べったくなっている身体からじわっと血溜まりを作っていく。
その血も美しかった。神話の中で出てくる聖なる湖のような、自分を写し出す鏡とすら思えた。残酷と美しさを融合した血溜まりに目を奪われていると、上の方から目線を感じふと自分の視界を上へ上げる。
壁の上からは一人の少年がこちらを見下していた。ペンキを塗ったかのような純白の少年。その少年は悲しそうな表情を作るとロウソクの火を消すかのようにフッと姿を消した。
私は感動したの。日常とはかけ離れた二つの世界に触れられたことに。
すぐ隣り合わせだけど意識しなきゃ入れない死の世界と、その後の世界となる幽霊の世界。
感動の余韻に浸っているとある感情が私の中で芽生えたの。
「...もっと....もっと知りたい!」
普通なら救急車や警察を呼ぶところだが、私は目の前にある死の世界に触れたくてしょうがなかった。
完全に息を引き取った少年の目、唇、鼻、胸、男性器、足を私はこの目で自分の肌で楽しんだ。