花瓶─狂気の恋─

真帆はまるで躊躇うことせず残酷な現実を伝えた。晶子は胸がぎゅっと締め付けられ、大粒の涙を流した。


「なんで...なんでそんなことするの!!泰河君と付き合ったばっかりなのに!なんでそんなひどいことするのよぉ!!」


「え?だってあいつ、晶子の話を"そんな事"で片付けたんだよ?晶子の事を身体目当てにしか思ってないとそんな発言出来ないよね?だから殺した。晶子が汚される前でよかったよ〜。」


「良くないよ!!真帆おかしいよ!どうしてそんな考え方になるの!何でもかんでも殺して済まそうなんて思わないでよぉ!前の真帆に戻って!!」


晶子の悲痛の叫びすら真帆の心には届いていなかった。晶子の言葉をヘラヘラしながら受け止めていた。


「真帆...お願い....元の真帆に戻ってよぉ...」


「戻るも何もこれが私だって東崖山でも言ったじゃん。何回も言わせないでよ〜。」


「真帆は操られてるんだ...あの女の人に....そうだ!あの人は真帆を殺そうとしてるの!自分の作品の為に真帆を殺そうと企んでるの!」


真帆は一瞬顔が固まるが、すぐに緩く溶けていく。


「そんな訳ないじゃん。私がいつ操られてるの?これを計画したのも私なのに、操られる要素ないよ。」
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