花瓶─狂気の恋─
真帆はスマホをスリスリ頬擦りして幸せそうな顔をしていた。それに反して悠雅は顔を真っ青にしている。
「あ、それとスマホの中だとほんの数十枚しかないんですけど、部屋に帰れば悠雅先輩隠し撮りコレクションが数百枚もあるんです!私、悠雅先輩と出会ったあの日からず〜っと先輩を撮ってるんですよ?気が付きませんでした?
私ってこれだけ先輩の事を愛してるんです。先輩も女の子にこれだけ想われてるのを少し喜んだ方がいいんじゃないんですか?」
真帆は目を見開きながら悠雅の顔に近付く。身体はピッタリとくっつき、顔はお互いの息がかかる程の距離。男女でこの距離感はドキドキするような場面だが、悠雅にとっては恐怖でしかなかった。
「バイセクシュアルってのは見抜けなかったけれど...それ以外は先輩の事なんでも知ってるんですよ?好きな食べ物オムライスですよね?嘘をつく時は目線が一瞬外へ移る。周りには頼って欲しいけど苦に思っちゃう時がある。寝る時は殆ど音楽を聴きながら寝てる。靴のサイズは二十七、臭いが気になるからスプレーをかけてる。シャンプーはCMで見かける度に変えてますよね?時々先輩の匂いが変わるから新鮮でしたよ。」
「な、なんでそこまで知って」