花瓶─狂気の恋─
食事は箸やフォークで食べるとか、レストランで騒いではいけないとか、路上で小便をしてはいけないみたいな常識に殺しが入っている人。愛する人を誑かしたから殺す、それが当たり前に考えている貴女こそ、私の考えているサイコパス定義にピッタリと当てはまる人物だった。


「貴女は作品に生まれ変わる。私の作品で生き続けるの。久しぶりに刺激を感じる取材ができて嬉しかったわ真帆。お疲れ様。」


久美は花瓶を手で払い除けた。花瓶は半円を描きながら床で割れる。

叫び声のように聞こえるその音は久美の耳に届くことなく、霧のように消えてなくなった。
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