花瓶─狂気の恋─
「うるさいなぁ...千紗は僕の母さんか?」
そのやり取りで真帆は正気に戻る。正気を失う程の幸福感を得られる悠雅に対して、正気を失う程の憎しみを得られる千紗。丁度よく温度調整が出来たことにイラッとしていた。
だが、真帆はそんな事を感じさせるような事はしない。寧ろ微笑しながらある事を聞いた。
「あはは...二人とも凄い仲がいいですね。羨ましいです。....もしかして...付き合ってたりするんですか?」
「え!?きゅ、急になんだい真帆ちゃん。そ、そんなんじゃないって。」
「そうよそうよ。だぁれがこんな写真バカと付き合うのよ。真帆ちゃん考えすぎだって。」
「千紗...お前も人のこと言えないだろ?」
慌てる悠雅に対して冷静沈着な千紗。
その様子を見て真帆は確信した。それと同時に、千紗殺害の意思を更に硬くした。
こいつ...こんな冷静に振舞ってるけど内心焦ってるでしょ?分かるんだよねぇ〜。こういう食えない女の事は...絶対に排除しないといけない....絶対に殺してやる!私の先輩は誰にも渡さない!!
普通なら慌ててる悠雅の方が気があるのでは無いかと思うが、真帆の頭の中にはそんな事は考えていなく、都合良く千紗だけを悪者にしていた。
楽しそうな雰囲気の中、真帆は心の中で殺意の炎を燃やしていた。