花瓶─狂気の恋─


真帆にとってはまるで興味が無い。そもそも写真部に入ったのは悠雅がいたからこそで、写真自体興味が無かった。
だが、真帆はあることに気が付いた。この気付きが決定打になると真帆自身まだ知らない。


「先輩...こういう景色みたいなの撮るの好きなんですか?」


「うん。私高所恐怖症なんだけどさ、今まで見れ無かった景色を写真に収めたらさ、ゾワっとする感覚と綺麗なのが上手い具合に噛み合わさってさ。
...やっぱり写真はいいよね。自分が普段見ることが出来ないことを写してくれる。私の第二の目?なんか厨二病みたいになっちゃうけど。」


千紗は照れ臭そうにしていた。真帆はそれに対して苦笑いだとか愛想笑い、相槌を今までうっていた。だが、さっき感じ取った真帆の気付き、アイディアという風船が膨れ上がっていた。


「...いえいえ、凄い良い写真ですよこれは....」


「え!?やっぱり!?やっぱ真帆ちゃんはわかってくれると思ってたよぉ〜」


当然真帆は違う意味で褒めていた。まさかターゲットが自分の手助けをしてくれた事への皮肉だった。
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