片想いの花
さて或る日少女は喉に違和感を覚え強く咳き込んなり。


すと少女の口より花が出でて来たり。


いかなる花が出てきしやはいづれの文献にも載りたらぬ為分からざるが、その後、少女の吐きし花に触れし少女の妹が、幼馴染に片想ひし吐きし花は堅香子(カタカゴ)といふ花なりき。




堅香子の花言葉は 「初恋」 「寂しさに敢ふ」。




その時代に花言葉と言ふものが有りて一般的に知られてゐしかは分からざるが、きっと少女の妹の初恋が幼馴染だったりせしならむ。


さて少女の妹は無事、幼馴染と結ばれて其れきり花を吐くは無くなりきと言ふ。


少女の妹が幼馴染と両想ひになり最後に吐きし花は白銀の百合なりきと言ふ。





一方、少女は花を吐き続け、遂にはものを食ぶるが出来ずなり亡くなりきと言ふ。
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