運転手はボクだ
・過ぎた恋は終わらせて欲しいモノ…
「恵未ちゃん、行ってきます」
御飯が済んで立ち上がってるようだ。後ろでガタガタと音がした。
「はい。行ってらっしゃい。気をつけてね?」
背を向けたまま声を掛けた。
「うん、解ってる…」
え?…チュ。……ぇえ?
「…あ。ちょっと!コラ。駄目よ?…もう」
びっくりした~もう。…いつの間にか後ろに来ていたなんて。
成さんが居たらきっと叱られてる。
「ハハハ、いいでしょ?ほっぺなんだから。挨拶挨拶。ぅあ゛、い、いでで。痛ーっ!…親父いつの間に…」
「コラ、ん゛?何してる…俺の恵未に何してるんだ…」
頬を抓られていた。低く凄味のある声だ。…わざと…でもあるのかな。フフ。
「イッター…。ヤベ…恐」
頬をさすっている。
「何がヤベ…だ。もう行け、遅れるぞ」
「行ってきま~す」
逃げるように駆け出した。
「ん……全く…いつもいつも。油断も隙もあったもんじゃない。おはよう恵未」
「おはようございます。今日は予定の変更は無いのでしょうか」
「……んー。終わるまで解らないな。…いつも通りと言えばそれがいつも通りだよな。
んー…」
「ん?…何ですか?先にお水?」
「んー、…うん。(キス)…して、いいか?」
「…」
「…いや、その…、今、千歳を叱った手前…」
「…いいんです。成さんは旦那さんなんですから。…聞かないでしてください」
遠慮するなんておかしいです。いつだって…黙ってしてくれていいんですから。ここは、千歳君みたいに、です。
「だよな?」
「…はい」
「恵未…」
正面を向かされ見つめられた。…朝から…行ってらっしゃいの挨拶とは違う…。しいて言うなら、おはようの挨拶?フフ…なんだか改められると恥ずかしい…。
顔が近づいて…瞼を閉じた時だ。
「ん゛ん゛。ん゛ん゛。おはよう。恵未ちゃん、水、くれる?」
…あ、もう…やだ。…わざとだ。
「はい、ただいま……」
…ふぅ。
「フ、悪いな、鮫島。あ、おはよう」
…。
「おはようございます…」
常温のお水を持って来た。テーブルの上にランチボックスが入った袋があった。
「はい、どうぞ…。あ、お弁当…。忘れてる、千歳君」
袋の紐を掴んだ。
「…放っておけ。折角作ってくれた物、忘れる奴が悪い」
成さん…。
「成さんに叱られて、きっと慌てたからですよ。私、追いかけてきます。まだそんなに行ってないと思うから」
お弁当を手に飛び出した。
「あ、恵未、俺が行…」
はぁ、あ、居た。…はぁ。良かった。
「千歳君~、千歳君~。…お弁当~。忘れてるー…はぁ」
「恵未ちゃん…」
声を掛けてお弁当を高く上げて見せた。気がついて立ち止まってくれた。こっちに戻ってる。
「恵未ちゃんごめん」
「はぁ。追いつけて良かった。はい、慌てん坊。好きな物一杯入れてあるんだからね」
「ごめん。有り難う。今日が弁当の日だって忘れてた。流石だね…恵未ちゃん…」
あ。抱きしめられた。
「もう…コラ~。お父さんにまた怒られちゃうから…」
こういうの、小さい頃からずっと上手ね…。
「はぁ、ハグはスキンシップだよ。俺、思春期なんだし。こうしてるとグレないよ?じゃあね」
「あ、え?うん。気をつけてよ?あ、他に忘れ物ない?」
「解ってるって。ないよ。大丈夫。携帯、鳴らしてくれても良かったのに」
…そうだった。でも気がつかなかったら駄目よね?
…はぁ。もう。…フフ、ず~っと変わらないわね。流石にもう、本人に可愛いとは言えなくなってきたけど。
本質は千歳君って可愛いまま…。
じゃあねって、駆けてい行く後ろ姿を見送っていた。
「わっ!」「わ~ぁ…も゛う。…成さん…」
「ハハハ、驚いたか?」
「はい、…もう。大人げないです、びっくりした…」
「フ。ごめんごめん。行ったようだな。間に合わなかったらバトンタッチして俺が追い掛けようかと思って追って来た。呼び止めたのに飛び出して行くから」
「ごめんなさい、有り難うございます。無事、近道して追いつきました、……ん?な、に?」
…。じっと見てる。ん?何?何かついてるかな…。
「…嘘だ。追い掛けようとしたのは嘘じゃないけど。また千歳がなんかするんじゃないかと思って来たんだ。
案の定、アイツ抱きしめて行ったな」
「ああ…フフ、スキンシップする事はいいんですって。グレない為だって」
「フ。いいのは解るけど…アイツのはちょっと屁理屈だな。してる意味が違う」
「フフ、でも、嘘じゃないですよね。触れ合ってるって、それだけで感じるものがあります。…愛情の…確認?」
今、どさくさ紛れに抱きしめてくれてもいいんですよ?…なんて、成さんはそんな風にはしないよね。
「ま、そうだな。…恵未…」
「はい。あ、戻らないと。社長、待たせてしまいます」
…。
「恵未…」
「はい?」
「ずっとこのままでいいか?」
ん?家庭の事?
「いいと、思います、よ?」
「…そうか」
…どうしたんだろ、成さん。
御飯が済んで立ち上がってるようだ。後ろでガタガタと音がした。
「はい。行ってらっしゃい。気をつけてね?」
背を向けたまま声を掛けた。
「うん、解ってる…」
え?…チュ。……ぇえ?
「…あ。ちょっと!コラ。駄目よ?…もう」
びっくりした~もう。…いつの間にか後ろに来ていたなんて。
成さんが居たらきっと叱られてる。
「ハハハ、いいでしょ?ほっぺなんだから。挨拶挨拶。ぅあ゛、い、いでで。痛ーっ!…親父いつの間に…」
「コラ、ん゛?何してる…俺の恵未に何してるんだ…」
頬を抓られていた。低く凄味のある声だ。…わざと…でもあるのかな。フフ。
「イッター…。ヤベ…恐」
頬をさすっている。
「何がヤベ…だ。もう行け、遅れるぞ」
「行ってきま~す」
逃げるように駆け出した。
「ん……全く…いつもいつも。油断も隙もあったもんじゃない。おはよう恵未」
「おはようございます。今日は予定の変更は無いのでしょうか」
「……んー。終わるまで解らないな。…いつも通りと言えばそれがいつも通りだよな。
んー…」
「ん?…何ですか?先にお水?」
「んー、…うん。(キス)…して、いいか?」
「…」
「…いや、その…、今、千歳を叱った手前…」
「…いいんです。成さんは旦那さんなんですから。…聞かないでしてください」
遠慮するなんておかしいです。いつだって…黙ってしてくれていいんですから。ここは、千歳君みたいに、です。
「だよな?」
「…はい」
「恵未…」
正面を向かされ見つめられた。…朝から…行ってらっしゃいの挨拶とは違う…。しいて言うなら、おはようの挨拶?フフ…なんだか改められると恥ずかしい…。
顔が近づいて…瞼を閉じた時だ。
「ん゛ん゛。ん゛ん゛。おはよう。恵未ちゃん、水、くれる?」
…あ、もう…やだ。…わざとだ。
「はい、ただいま……」
…ふぅ。
「フ、悪いな、鮫島。あ、おはよう」
…。
「おはようございます…」
常温のお水を持って来た。テーブルの上にランチボックスが入った袋があった。
「はい、どうぞ…。あ、お弁当…。忘れてる、千歳君」
袋の紐を掴んだ。
「…放っておけ。折角作ってくれた物、忘れる奴が悪い」
成さん…。
「成さんに叱られて、きっと慌てたからですよ。私、追いかけてきます。まだそんなに行ってないと思うから」
お弁当を手に飛び出した。
「あ、恵未、俺が行…」
はぁ、あ、居た。…はぁ。良かった。
「千歳君~、千歳君~。…お弁当~。忘れてるー…はぁ」
「恵未ちゃん…」
声を掛けてお弁当を高く上げて見せた。気がついて立ち止まってくれた。こっちに戻ってる。
「恵未ちゃんごめん」
「はぁ。追いつけて良かった。はい、慌てん坊。好きな物一杯入れてあるんだからね」
「ごめん。有り難う。今日が弁当の日だって忘れてた。流石だね…恵未ちゃん…」
あ。抱きしめられた。
「もう…コラ~。お父さんにまた怒られちゃうから…」
こういうの、小さい頃からずっと上手ね…。
「はぁ、ハグはスキンシップだよ。俺、思春期なんだし。こうしてるとグレないよ?じゃあね」
「あ、え?うん。気をつけてよ?あ、他に忘れ物ない?」
「解ってるって。ないよ。大丈夫。携帯、鳴らしてくれても良かったのに」
…そうだった。でも気がつかなかったら駄目よね?
…はぁ。もう。…フフ、ず~っと変わらないわね。流石にもう、本人に可愛いとは言えなくなってきたけど。
本質は千歳君って可愛いまま…。
じゃあねって、駆けてい行く後ろ姿を見送っていた。
「わっ!」「わ~ぁ…も゛う。…成さん…」
「ハハハ、驚いたか?」
「はい、…もう。大人げないです、びっくりした…」
「フ。ごめんごめん。行ったようだな。間に合わなかったらバトンタッチして俺が追い掛けようかと思って追って来た。呼び止めたのに飛び出して行くから」
「ごめんなさい、有り難うございます。無事、近道して追いつきました、……ん?な、に?」
…。じっと見てる。ん?何?何かついてるかな…。
「…嘘だ。追い掛けようとしたのは嘘じゃないけど。また千歳がなんかするんじゃないかと思って来たんだ。
案の定、アイツ抱きしめて行ったな」
「ああ…フフ、スキンシップする事はいいんですって。グレない為だって」
「フ。いいのは解るけど…アイツのはちょっと屁理屈だな。してる意味が違う」
「フフ、でも、嘘じゃないですよね。触れ合ってるって、それだけで感じるものがあります。…愛情の…確認?」
今、どさくさ紛れに抱きしめてくれてもいいんですよ?…なんて、成さんはそんな風にはしないよね。
「ま、そうだな。…恵未…」
「はい。あ、戻らないと。社長、待たせてしまいます」
…。
「恵未…」
「はい?」
「ずっとこのままでいいか?」
ん?家庭の事?
「いいと、思います、よ?」
「…そうか」
…どうしたんだろ、成さん。