four seasons〜僕らの日々〜
「でも、椿ちゃんはすごいね。脚本を書くって…」

蓮に椿は脚本を書くことになったと話していた。

「そう?ありがとう」

普通に話しているように見えるが、流れている空気は重く苦しい。椿は蓮と目が合うたびに胸が高鳴るが、蓮の目は切なげで胸が締め付けられていく。

この関係を結んでいるのは、愛情などではない。同情という悲しい鎖だ。



「椿ちゃん!!」

お父さんのお葬式が終わった夕方、蓮が椿の家に来た。その顔を見た刹那、不安だらけだった椿の心に少し光がさした。

「その……お線香をあげさせてもらってもいい?」

「そっか…。小さい頃よく遊んだよね」

椿は無理に笑顔を作り、蓮を案内した。

目の前にはお父さん。お父さんのずっと眠っている棺。

「辛い時に押しかけてごめん」

蓮が椿を見つめる。

「ううん。大丈夫気にしないでーーーッ!」

椿の目から突然涙がこぼれた。

「あれ?おかしいな。死んだって聞かされた時も、お通夜もお葬式でも泣かなかったのに何で……?」
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