four seasons〜僕らの日々〜
これからどうしようという不安があっても、絶対に泣かなかった。泣けなかった。

なのに、今は体が震え今まで忘れていた涙が流れていく。

どうして涙が止まらないのか、その答えを椿は知っていた。

「蓮!!」

椿は蓮の手を取り、強く握りしめる。

「椿ちゃん……?」

「蓮!私、ずっと前からあんたのこと好きだった!お願い、私と付き合って!!私を愛してよ!!」

蓮は戸惑った表情で椿を見つめる。

お父さんがいなくなって温もりを失った。不安な時、辛い時、抱きしめてもらっていた。「椿がいてよかった」と言ってくれた。その愛を失って悲しかった。失いたくなかった。

「愛されたい…!」

頭の中に、今まで忘れてしまっていた思い出まで頭に浮かんだ。蓮の温もりにまた涙があふれる。

「……椿ちゃん」

顔を上げると、蓮は寂しげな表情だ。拒まれるのが怖くて、椿は話し続ける。

「見捨てないで!!あなたまで失ったら、私どうすればいいかわからない!お願い……お願い……」

力なくその場にしゃがみ込む。

声にならない嗚咽を漏らしながら椿が泣き続けていると、ふわりと頭に手を置かれた。

「わかった。椿ちゃんの望み通りにする」

その顔は悲しげで、でも椿は嬉しかった。
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