four seasons〜僕らの日々〜
頭の中でわかっていても、誰かに言われると胸が痛くなる。

「おい。こっち向け」

翔が椿の肩を掴んで、自分の方を向かせた。

「恋愛というものは、互いの想いが通じあって初めて成立する。お前はただ勝手に盛り上がっているだけだ」

翔の言葉が棘のようにささっていく。

「お前が蓮を縛り付けるたびに、美桜が悲しむ。……あいつの悲しむ顔だけは、絶対に見たくない」

「そ、それって……」

「俺は、美桜が好きだ。……だからこそ、好きでもないのに好きと嘘をつく蓮も、遠回しに美桜を傷つけるお前も嫌いだ。そして許せない」

「……」

椿は何も言えなかった。ただ、涙だけがこぼれていく。

「早くなんとかしろ。俺が言いたいのは、それだけだ」

そう言い教室を出ようとする翔の腕を、「待って!」と椿は掴んだ。

「……ちゃんと答えはもう出てる。あとは…蓮にとどめを刺してもらうだけ……」

「その話、詳しく聞かせろ」

翔が振り向いた。
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