four seasons〜僕らの日々〜
文化祭二日目は演劇部は朝早くに集まり、午後の本番に向け練習することになっていた。
「おはようございます」
椿がそう言いながら体育館に入っていくと、「どうしよう…!」と先輩たちがざわめく声が聞こえた。
「どうしたんですか?」
椿が訊ねると、先輩の一人が真っ青になりながら言う。
「実は……ロミオ役の田中が熱を出して休むって……」
「えっ!?」
演劇部の人が次々に劇がどうなるのか心配し始める。
「代役になれる人は……?」
「みんなロミオの台詞、あまり覚えてないんだって」
希望が消えていく。
今回の『ロミオとジュリエット』は原作とは全く違う物語で、もちろん台詞も違う。過去に『ロミオとジュリエット』を演じたことがあっても、今回の劇の台詞はかなり違うためみんな自分の役の台詞を覚えることで精一杯だった。
「誰か代役になれる人、いないのかしら…」
先輩がため息をついた。
椿は、スマホを掴んで体育館の外に飛び出した。