four seasons〜僕らの日々〜
聖夜の誓い〜閉じこめた迷い〜
十二月の冷たい風が、翔や道を歩く人々を包み込む。吐き出した息が白く姿を現し、一瞬で消える。

翔が歩いていると、後ろからぽんと腕を軽く叩かれた。

「翔くん、おはよう!」

美桜が笑顔で言った。その笑顔と声に翔の体が熱くなり、冬の寒さが吹き飛んでいく。

「お、おはよう…」

ドキドキしながら微笑む。

「今日、数学の小テストあるんだよね。勉強したけど自信ないな」

「……よかったら、俺が教えてやろうか?」

「本当!?ありがとう」

美桜と話していると、怒りのこもった視線を翔は背中に感じた。

ちらりと後ろを振り向くと、翔の予報通り蓮が翔を睨みつけている。しかし、その目の奥に迷いがあることに翔は気づいた。

「美桜!おはよう!」

蓮の後ろから椿が走ってきた。その姿を見て美桜が驚く。翔も驚いてしまった。

「椿ちゃん!その髪、どうしたの?」

「ん?ああ、切ったの」

もともとショートカットだった椿の髪がさらに短くなってベリーショートになっていた。椿の髪が短くなった理由を翔は知っている。椿の少し後ろにいる蓮が、気まずそうにうつむく。

「あれ?蓮くん?おはよう!」

美桜が蓮に声をかけた。蓮はぎこちない笑顔を一瞬見せたあと、うつむいた。

何かが起こる……。

翔はそう思った。
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