four seasons〜僕らの日々〜
ドクン、ドクンと翔の心臓がうるさいくらいに鳴る。

蓮が何を言っているのかわからず、翔は耳をドアに強く当てた。音楽室の中から美桜の泣く声が聞こえる。

「どうして…？どうしてなの？」

「僕一人が幸せになっちゃいけない！椿ちゃんは僕以上に辛いことを経験してきた。……想いに応えられなかった僕は、償うべきなんだ」

「蓮くんはそれでいいの？椿ちゃんはそれを望んでいるの？」

「……僕が望んだ」

美桜の泣き声に耐えきれず、翔は足早にその場を去った。

次の日、美桜から笑顔が消えていた。



冬の冷たい空気は、まるで蓮たちみたいだと翔は思った。

暖かい絆がもろく崩れた先に、残っているものなど何もない。悲しみと冷たさが混じった世界だ。

美桜は椿と話している。蓮は二人とは全く関わらず、クラスメートの男子と話すことが多くなった。

そんな三人のことを無視して、クリスマスパーティーを一年生でしないかという話が昼休みに始まった。

「食べ物とかみんなで持ってきてさ、体育館でしようよ！」

翔と同じクラスの女子がそう言ったとき、クラス中が「楽しそう！」と盛り上がる。

しかし、翔は不安しか感じなかった。その予想通りの言葉が女子の口から放たれる。
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