four seasons〜僕らの日々〜
恋の彩り〜甘く、苦い〜
目を開けると、いつもの見慣れた天井が広がっている。翔はゆっくりと体を起こした。

時計を見るとまだ朝の六時だ。もう一度ベッドに体を倒すが、眠気はどれだけ待ってもやって来ない。翔は眠るのを諦めて起きることにした。

今日は一月一日。新しい年の最初の日。

翔はぼんやりと窓の外を見る。まだ薄暗い。きっとみんな夢の中だ。美桜も……。

美桜はどんな顔をして寝るのだろうか。きっとかわいいに違いない。そんなことを考えていると、翔の頰が赤くなる。

クリスマスに告白してから美桜とは一度も会っていない。それが少し寂しい。翔は何度もため息をついた。

しばらく美桜のことを考えたあと、翔は冷蔵庫から昨日作っておいたおせちを取り出し、電子レンジで温めた。

一人で暮らす以前から料理や洗濯などを無理やりさせられていたため、おせちなど簡単に翔は作ることができる。

美桜にも何か作ってあげたい、と翔は栗きんとんを口に入れながら思う。美桜が甘いものを食べる時の幸せそうな表情を思い出し、翔はますます美桜に会いたくなっていった。

朝ごはんを食べ終わり、食器を洗って片付けたあと、翔は冬休み前に学校の図書室で借りた本を開いた。静かな部屋に本のページをめくる音だけが響く。
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