four seasons〜僕らの日々〜
「美桜、バレンタインのチョコどうする?」

「どうするって?友チョコはちゃんと用意するよ?」

椿がニヤニヤしながら言う。

「バレンタインってどういう日か知ってるでしょ?」

美桜は「えっと…うん…まあ…」と恥ずかしがりながら言った。

翔は少し美桜たちから離れた。

「…でも、蓮くんにだけはあげられないよ」

「義理も渡すの?」

「何で告白することになってるの!?心の準備なんてできてないよ!」

美桜の顔は翔からは見えないが、きっと赤く染まっているのだろう。

「……あのね、仲良くしてくれている人に渡したいんだ。義理とか本命とか関係なく」

美桜が話し始めた。

「いつも一緒にいてくれる椿ちゃんはもちろん、空くんや蓮くんにも感謝を込めて渡したいんだ」

翔の胸が痛む。そこに自分の名前はない。やっぱり嫌われていた……。苦みが心に染み渡っていくーーー。耐えられず、翔はうつむいた。

「……あと、翔くんにも渡したいな」

そんな美桜の優しい言葉に、翔はゆっくりと顔を上げた。真っ暗だった目の前にきれいな青空が広がる。

「翔くんのこと、きっと傷つけてしまったから、ごめんねって伝えたくて……」
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