four seasons〜僕らの日々〜
翔の目に、涙がたまる。それは悲しいからではなく嬉しいからだ。

「そっか…。じゃあ、私も協力するよ!すてきなチョコを作ろう!!」

椿が笑う。美桜も「ありがとう!」と嬉しそうに言った。

翔はそっとその場を離れ、教室へと戻った。

教室では相変わらずチョコの話で盛り上がっている。しかし、翔の心はもう空っぽではなかった。

翔の穏やかな表情を見て、クラスメートの女の子たちは目を丸くし、その頰を赤く染めていた。



次の日の朝、翔は廊下で美桜に久しぶりに声をかけた。声をかける時は、心臓がバクバクと音を立て、まるで全校生徒の前でスピーチをする前のように緊張した。

「……お、おはよう」

目をそらし、声はとても小さかったが、美桜は「おはよう」と返してくれた。

翔が恐る恐る顔を上げると、美桜は優しい笑顔を向けている。

「あの……その……この間はごめん」

翔は美桜に頭を下げた。

「大丈夫だよ。こちらこそごめんね」

美桜は安心したような笑顔を向ける。翔の胸に久しぶりに甘い鼓動に揺れた。

美桜に何かできないのだろうか……。

美桜と話しながら、翔は思った。



放課後、翔は図書室に向かった。

翔もバレンタインの日に何か美桜にあげようと決めた。しかし、何を渡せばいいのかわからない。そのため、プレゼントのことが書いてある本がないか、探しに行くことにしたのだ。
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